気づけばアメリカに来て丸 3 年が経とうとしています。技術力が成長しているかどうかは正直微妙なところですが、総合すると、日本よりは仕事がしやすい環境です。そんなことはいいのですが、私は未だに L1 ビザで、初回の有効期間が 3 年だったので日本で更新してきました。グリーンカード取得のプロセスとの兼ね合いや、社内での書類の準備などでバタバタしたので、まとめておこうと思います。

まず大前提ですが、L1 ビザの期限は 3 年です。正確に言うと、ビザ スタンプの期限は、パスポートに添付されているビザの Expiration Date として書かれており、2012 年以降に発行されたビザの場合は発行日から 5 年後のはずです (2016 年現在)。しかしこれは罠で、実際の滞在期限は、ビザ上に PED (= Petition End Date) として示されている日付で、こちらは発行日から 3 年後になっています。この日付が、アメリカ入国時に発行される I-94 の有効期限と一致するはずです。

L-1ビザの就労(滞在)期限とビザスタンプの期限について | SWLG P.C. Immigration News
http://www.swlgpc.com/jp/blog/2015/05/employment-period-and-visa-stamp-expiration-date-for-l-1-visas/

Lビザでの有効期限と滞在期限の違いについて | American Business Creation
http://abctny.com/immigrationnews/%EF%BD%8C%E3%83%93%E3%82%B6%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%9C%89%E5%8A%B9%E6%9C%9F%E9%99%90%E3%81%A8%E6%BB%9E%E5%9C%A8%E6%9C%9F%E9%99%90%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

L-1 は駐在員ビザなので、基本的にはアメリカでの勤務先が移民局への延長申請などを行ってくれるはずです。ただし、ビザを更新する大前提として一度アメリカから出ないといけないこともあり、旅費や仕事上のスケジュール調整は自分でやらないといけません。したがって、まずは延長申請の全体のプロセスを理解しておくことが重要と思います。

簡単な流れは以下の通りです。基本的には新規申請と同じです。

  1. 勤務先が移民局への延長申請を行ない、その petition の Receipt Number が発行される。
    (https://egov.uscis.gov/casestatus/landing.do でステータスを確認できる)
  2. Receipt Number をもらって、申請者がオンラインで DS-160 フォームを送信し、領事館での面接を予約。
  3. 面接前に、勤務先から必要な申請書類を受け取っておく。I-129S, G-287, I-797, サポート レターなど。
  4. アメリカ出国。
  5. 領事館で面接を受け、パスポートを預ける。面接の最後に承認されたかどうかを教えてくれる。
  6. 滞在先でパスポートを郵送で受け取る。
  7. アメリカ入国。新しい PED で I-94 が発行される。

ポイントは、前述のようにアメリカを出ないといけないことです。アメリカ入国の時に I-94 が発行されるので、そもそも一度出国しないと新しい I-94 を発行してもらうことができないのです。では、我々日本人の場合は日本に帰らないといけないか、というと必須ではなく、基本的にはアメリカ以外ならどこでも OK です。例えばここシアトルの場合、最寄りの領事館であるカナダのバンクーバーで延長申請を行なうことは可能らしいです。ただし私の場合は、グリーンカード申請との兼ね合いもあって、リスクを最低限に抑えたかったので、高い旅費を犠牲にしても日本で延長することにしました。ちなみに社内のガイドには以下のように書かれています。

Visa stamps can be obtained at United States Consulates or Embassies outside of the United States. Procedures vary depending on consular location, so it is important that you familiarize yourself with the procedures at the location where you intend to apply well in advance of submitting the application. Most consulates require that an appointment be made in advance and that the application be submitted in-person by the visa applicant.

The general rule is that you should apply for a US visa stamp at a US consulate located in your home country. Some US consulates will accept visa stamp applications from persons who are not citizens or residents of the nation in which they are located. However, because the consulates have wide discretion in these matters and most will usually not accept applications from “third country nationals”, we generally recommend that you apply for US visa stamps in your home country.

Qualifying applicants renewing select US nonimmigrant visa types, whose most recent visa was issued in India, may be able to obtain a waiver allowing them to skip the process of scheduling an interview appointment at US consulates in India.

また、ある人がこんなことを言っていました。L-1 はあくまでも駐在員ビザであり、日本の会社に所属している人がアメリカの会社に駐在している、という体を取っている。書類に不備があった場合などは、領事館がそれを関係機関に確認しないといけないが、その場合は日本の会社に連絡が行くことが多い。このとき、第三国の領事館はそもそも日本の会社と連絡を取る必要があることを好ましく思わない、また、言語や時差の関係で連絡に時間がかかることが予想されるので、万が一に備えるならば日本の領事館に行ったほうがスムーズ。

ちなみに、トルコ人の上司は、初回の延長はトルコに行ったけど、二度目以降はバンクーバーで何の問題もなかったとも言っていました。

なお、日本で面接を受けることの欠点としては、旅費に加えて、発給までの期間が若干遅いことがあります。以下のページで、領事館ごとの面接の空き具合と、ビザ発給までの日数の目安を一応確認できます。

Visa Appointment & Processing Wait Times
https://travel.state.gov/content/visas/en/general/wait-times.html/

Petition の Receipt Number をもらって、どの国で面接を受けるかを決めたら、DS-160 のオンライン フォームを自分で記入して、面接の予約を行なうのが次のステップです。当然ながら飛行機のチケットや、日本での滞在先も自分で手配しないといけません。ここで問題になるのが、面接後何日でビザが発給されるかは決まっていないことです。一応上記のサイトで目安は確認できますが、最大日数が保証されているわけではありません。これについては、滞在期間を長めに確保する以外の方法はなく、滞在費が嵩むことは避けられません。そこで、上記サイトよりも遥かに役に立つのが↓の掲示板です。

ビザ取得情報データベース
http://www.kenkyuu.net/cgi-visa-survey/fvote-visa.cgi

各領事館で、発給にどれぐらいかかったかの投稿がまとめられています。大学の研究者向けのサイトなので、ほとんどが J1 ビザで、L1 とは勝手が違うとは思いますが、東京の場合で基本的に 1 週間、バッファーを含めて 10 日から 2 週間確保しておけば安全っぽいです。月曜か火曜日に面接を受けて、次の週の後半まで滞在するのが無難だと思います。領事館は土日休みですが、パスポートはレターパックで送られてくるので、土日に受け取ることもできます。私の場合は、面接を受けたのが水曜で、2 日後の金曜にパスポートが発送されて、日曜の朝に滞在先のホテルに届きました。

以下のような順番で手配を行うのが普通だと思います。まあお金がある人は適当でいいと思いますが・・。

  1. DS-160 を埋めて送信する (この中に Receipt Number を記入する欄があります)
  2. 面接の予約可能日を確認する
  3. 予約可能日をもとにフライト、ホテルの空きを検索
  4. 面接を予約
  5. フライト、ホテルを予約

DS-160 オンライン フォームの記入は以下のページからできます。最初のページで領事館の場所を選択します。

Nonimmigrant Visa - Instructions Page
https://ceac.state.gov/GenNIV/Default.aspx

DS-160 記入における特記事項は以下の通り。

Travel のページでビザの種類を L1 を選択すると、Application Receipt/Petition Number という項目が出てくるので、そこに勤務先から通知された Petition Number を入力します。

Previous U.S. Travel のページの最初の質問が “Have you ever been in the U.S.?” で、延長の場合は当然 Yes になります。すると、過去 5 回のアメリカ入国日と滞在期間を聞かれます。ビザの 3 年間で、日本への一時帰国を含めて何度アメリカを出入りしているわけですが、そんな小旅行をいちいち入力するのが面倒だったので、直近は 3 年間アメリカに滞在したことにしました。特に面接で聞かれることもなかったので、それでいいと思います。アバウトです。

同じ Previous U.S. Travel のページの最後の質問が、”Has anyone ever filed an immigrant petition on your behalf with the United States Citizenship and Immigration Services?” です。移民ビザやグリーンカードの申請を同時に行っている場合は Yes を選択します。ただし、petition という段階は I-140 の提出であり、PERM の申請は petition にはならないことに注意が必要です。私の場合は、グリーンカードの申請プロセスで PERM は承認済みで、AOS はまだファイルされていない状態でした。社内のガイドを見ると以下のように書かれていたので、No を選択しました。もし AOS、特に I-140 が既に申請されている場合は Yes を選択し、Explain の欄に以下に書いてあるようなコメントを書いておきます。

If any US employer has ever submitted a Form I-140 Immigrant Visa Petition for you to USCIS, then you should answer “yes.” In the box that will appear under “Explain,” you should enter: “[Company’s name] filed an I-140 for me with USCIS.” For most employees, the I-140 is the second stage of the employment-based green card process, following the PERM labor certification.

次に迷ったのが Additional Work/Education/Training のページの “Do you have any specialized skills or training, such as firearms, explosives, nuclear, biological, or chemical experience?” という質問です。該当する人は少数だと思いますが、私の場合、学部が生物化学科だったので Yes に該当します。社内のガイドを見ると、以下のように書かれていました。したがって Yes を選択し Explain の欄には “I was a student of the Department of Biophysics & Biochemistry at The University of Tokyo.” とか書いておきました。この回答について面接で質問来るかなと思いましたが、何も聞かれませんでした。補足資料の中に大学の成績証明書が入っていたので、特に不明な点はなかったのでしょう。よかった。

Answer this question truthfully. If you have ever taken any classes in the shooting of firearms, detonation of explosives or have studied the nuclear, biological or chemical sciences at any time, answer yes to this question and detail on a separate sheet of paper where and when you received this training, who trained you and why.

あとは特に引っかかる部分はありませんでした。DS-160 フォームを送信すると、確認番号 (DS-160 Confirmation Number) が発行されます。この番号を面接予約の時に入力するのでメモっておきます。

面接の予約は以下のサイトから行います。アカウントを作るときに国を聞かれるので、日本で面接を受ける場合は日本を選んでアカウントを作ります。

https://cgifederal.secure.force.com/

この段階で初めて正確な面接の空き日程を確認できるようになります。いきなり面接を予約してしまう前に、念のためフライトやホテルの空き状況をチェックしておきましょう。

日本のアメリカ領事館の場合、いくつかの条件を満たすと、面接なしの郵送だけでビザ更新の申請ができます。ただし、更新の際に本人が日本にいなければならないことに変わりはなく、郵送申請の場合、日本について成田などからすぐにパスポートを領事館に郵送し、あとはひたすら待つという流れになります。メリットはわざわざ領事館まで出向かなくてよい、という点ですが、面接の場合よりも時間がかかることが多いようです。また面接の場合には、面接終了時に結果がすぐ通知されるので安心感があります。

米国ビザ申請 | ビザを更新する - 日本 (日本語)
http://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-visarenew.asp

私はもともと面接ありのプロセスにしたかったのですが、面接予約のポータルが少々使いにくく、2 点ほど注意が必要でした。

まず、面接予約をしようとしている段階では、まだホテルを予約していません。しかし面接予約を完了するときに、日本の滞在先である住所を求められます。最終的にそれがパスポートの返送先になるわけですが、空欄のままだと面接を予約することができません。以下のページにあるように、面接当日まで住所を変更することはできるので、まずは適当な住所を入力して予約を完了させる必要があります。かといって嘘の住所を入力するのも憚られるので、最初は勤務先の住所を入れておきました。

米国ビザ申請 | 書類の郵送先住所を変更する - 日本 (日本語)
http://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-deliveryaddressmodify.asp

もう一つ注意点がありました。予約の際、郵送申請が可能かどうかを判別するための質問を聞かれ、条件がマッチすると勝手に郵送申請にカテゴライズされてしまい、面接日を選択することができなくなります。困った仕様です。この場合、New Application/Schedule Appointment をクリックして最初からやり直して下さい。このとき、新たに料金を支払ってしまわないように注意してください。最後の質問が確か、「今日本にいますか」的ものなので、No を選ぶと面接が必須になります。

面接の予約が終われば一安心で、あとはフライトとホテルを適当に予約します。私の場合は月火が空いていなくて水曜日が面接になりました。さすがに翌週の金曜日までにはビザは発送されるだろうと推測し、面接の翌々週の月曜日に帰る便を予約しました。日曜日でもよかったのですが、月曜のフライトが安かったのです。お金ないんで・・。ホテルを予約したら、もう一度面接予約のページに戻って、住所を変更します。スムーズにパスポートを受け取るためには、正確に住所を記述することがとても大事です。上記ページからの引用ですが、住所記述に際してよくあるミスは以下の通りです。

  • 自宅を選択した場合:マンション・アパート名、部屋番号、受取り人氏名がない。
  • 本人以外への配達を希望した場合:宿泊先(ホテル)名、大学および学部名がない。
  • 勤務先を選択した場合:社名、建物名(階数も含む)、受取り人氏名がない。
  • APO/FPO/DPOアドレスのみ記載され日本国内の住所がない(郵送は日本国内のみ可能)。
  • 郵送先住所ではなくメールアドレスが登録されている。

日本国内の郵送で使うのだから住所は日本語表記のほうがいいような気もするのですが、そのような記載が全くないので英語表記で書きます。このときはヴィラ・フォンテーヌ日本橋三越前に 14 泊する予定だったので、住所は以下のように書きました。

Address Line 1: 
1-7-6 Honcho Nihombashi 
Hotel Villa Fontaine Tokyo - Nihombashi Mitsukoshimae

City: Chuo-ku

State: Tokyo

Postal Code: 1030023

Contact Information の Phone Number のところは、日本の携帯番号がないので、+1 で始まるアメリカの携帯番号を書いておきました。日本滞在中はその番号に出られないのであまりよろしくないのですが。

面接の予約が終わったら、あとは日本へ行くだけ・・・なのですが、実はその前に必要な書類を受け取らないといけません。私の場合、これが一番厄介でした。というのも、次のようは不毛なメールのやり取りをしていたためです。意見食い違いすぎ。今見返すと、弁護士 (Attorney) の言っていることも分かるのですが、情報を小出しにされている感があります。

[2016/5/13 Fri.]

Me: “I’ve submitted DS-160. How can I get an approved I-129?”

Attorney: “You are applying for your L-1 visa at the Consulate, so the officer will approve your I-129S (L-1 application). The petition number for blanket L applications is the receipt number highlighted in the previous thread. Please let me know your finalized travel plans and visa appointment date when finalized.”

Me: “After I submitted DS-160 to the consulate in Tokyo/Japan, I received the confirmation card attached, which says I must bring an approved I-129. Do you mean it is not needed? Only passport is good enough for L-1 extension?”

Att: “We are preparing all of the documents that you need for the interview.”

Me: “When you say ‘We are preparing’, is it expected I can receive those documents before the interview whenever I schedule it?”

Att: “Yes – which is why we need to know when you are departing and your appointment date.”

Me: “That’s what I wanted to confirm. I thought I would schedule an interview after getting all required documents.”

[2016/5/16 Mon.]

Me: “Below is my finalized travel plan: Departure: May-29-2016 Interview: June-1-2016 Arrival to the US: June-13-2016”

Att: “Thank you. We will finalize your paperwork next week.”

このメールの後この週は一切音沙汰なし。月曜なのに next week かよ意味分からん・・とか思いながら大人しく待ってたわけです。で、翌週の月曜の朝に電話がかかってきて、今からサポートレター送るからレビューしてくれ、みたいな感じ。でそのあとのメール。

[2016/5/23 Mon.]

Att: “As part of the application, we have prepared a support letter (attached). Please review the support letter for accuracy… In order to finish preparing the petition to be ready before his departure this weekend, we kindly request that you review the letter at your earliest convenience.”

ここで添付されてきたレター、なんと別の人の名前が書いてある。たぶんコピペミス。仕事が杜撰すぎ。この弁護士クビだろもう・・。その上、3 年前と違って更新の条件が厳しくなっているから正確なジョブ ディスクリプションを提出しろ、とかいろいろ言われる。いやそれ以前にお前が正確なレター送ってこいよ。この後不毛なやり取りが 2 日続く。そしてようやく。

[2016/5/25 Wed.]

Att: “I have incorporated the information provided in the previous threads to the draft of the support letter…”

Me: “This looks great to me. I can sign off.”

[2016/5/26 Thu.]

Me: “Can I receive documents today?”

Att: “We will not have the packet ready for collection until around 1pm tomorrow. Please send me a meeting invite for after 1pm to collect your paperwork from my office.”

翌日にやつのオフィスに直接出向いてようやく書類をゲット。この日が金曜で出発が日曜だから間一髪。面接の予約がもっと早かったらどうなっていたのか不明。まさに US クォリティ。

さらに、この週はアメリカ出国に対して、グリーンカードの AOS をどうするかという話を別の弁護士と不毛なやり取りをしていました。その弁護士には一度送った写真を紛失されるなど、同様に杜撰な仕事をされていたわけですがそれはまた別の機会に。

ここまで来ればあとは日本に行って面接を受けてくるだけです。以下のサイトを読んでおけば大丈夫でしょう。携帯の持ち込みができないので、時間を潰すための本や雑誌などを持っていったほうがいいです。あと、前に並んでいる人がライターの廃棄を余儀なくされていたので、タバコを吸う人は気を付けてください。

非移民ビザ | 東京, 日本 - 米国大使館
http://japanese.japan.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-nivinterview-procedures.html

新規の時と違って、大使館に入ってから 5 分ほどで料金を支払うように言われて、その後 10 分ほどで面接に呼ばれました。面接で聞かれたのは、アメリカでの仕事内容と、今まで何年勤めているのか、の 2 点だけ。領事館がその場で I-129S にスタンプと署名をしてくれました。大使館の中にいたのは合計 30 分ぐらい。

アメリカ入国の際には、念のため承認済み I-129S などの書類は預け入れずに手荷物にしておきましょう。とはいうものの、初回の入国のときと同様、今回もパスポート以外の書類は不要で、入国審査官にビザを更新して一回目の入国であることを伝えると “Welcome back!” と言われて一瞬でスタンプを押されました。

なお、アメリカに戻ってきて 2 日後に AOS がファイルされました。さっさとグリーンカードが欲しい。