山陰放浪記5 兵庫~京都編
旅も最終日。今日も雨は降らなそうだ。城崎温泉の外湯は朝も営業してるので、朝から外湯巡りをすることもできる。が、移動するのも面倒なので、宿の大浴場で朝風呂を楽しむ。旅の中でいろいろな温泉地を巡ったが、城崎が一番良かった。そして城崎温泉駅を出発。
なんとここで乗った電車で、餘部で出会ったおばあちゃんたちと再開。なんという偶然。彼女たちが大西屋の向かいの「ブルーきのさき」というところに泊まったらしいが、イマイチな宿だったらしい。大西屋は良かったのに、それは残念。豊岡まで行って、そこから北近畿タンゴ鉄道で天橋立と小浜へ行くようだが、こちらは城崎温泉の次の駅の玄武洞で降りるため、ここでお別れ。思いがけない旅の出会いでした。
玄武洞というのは、その名の通り玄武岩でできた洞窟、岩山の観光地です。単なる玄武岩ではなく、溶岩が冷える過程で岩が六角柱状にひび割れて、綺麗な柱状節理を作っているのを近くで見ることができるのです。アイスランドにも似たようなのがあって、それを見たかっただけに、日本で身近に見られるとは驚き。さすが火山国。玄武洞だけでなく、東尋坊など、柱状節理を見られるポイントは日本に数箇所あるようです。
http://www3.ocn.ne.jp/~genbudo/
玄武洞へのアクセスが興味深いです。城崎温泉の隣の駅が玄武洞駅というそのままの名前の駅があるのですが、駅と、実際に玄武洞のある玄武洞公園の間は円山川というけっこう大きな川が流れていて、しかも橋がありません。そこで、駅と玄武洞公園の間には渡し舟があるのです。玄武洞公園に隣接する玄武洞ミュージアムという博物館のような施設の人がボードを出してくれます。昔は屋形船が定期的に出ていたらしいですが、人が減ってしまって、今では渡し舟しかありません。もちろん車で行くことはできて、城崎温泉から10分ぐらいの距離らしいです。が、渡し舟を使わないと損でしょう。
渡し舟乗り場。定期便ではないので、電話をかけて来てもらいます。
これが渡し舟。普通の(ちょっと古い)モーターボートです。風が心地よい。
ボートのおじさんが「博物館も見ていってくださいね」と言うので、せっかくなので行ってみることにする。入館料は600円。高い。洞窟だけ見て、博物館には立ち寄らない人ばかりなんだろうな・・・と思いながら中へ入る。鉱物、化石が展示されているのですが、種類も豊富で、けっこういいんですよ、これが。田舎だと思って馬鹿にしてはいけませんね。好きな人は是非行ってみることをお勧めします。玄武洞のなりたちの映画もありますよ、と薦められたがさすがにそれは丁重に断る。
中でも興味深かった展示は燐灰ウラン石とウレキサイト(テレビ石)。このほかにもまだまだ展示物が多いので、1時間ぐらいは飽きなそうでした。
燐灰ウラン石。ブラックライトで光ります。蛍光性質を持つ石がまとめて展示されているコーナーにあります。
ウレキサイト。文字が浮き上がって見えます。
博物館もいいですが、やはり玄武洞を見なければ。
この世のものとは思えなかった。地球すごい。あまり「メジャーではない観光地かもしれませんが、城崎温泉まで行ったら玄武洞にも足を運んでみてください。近いし。
十分楽しんだ後は、また渡し舟で駅まで戻ります。
これが渡し舟。
玄武洞駅。もちろん無人。
次は最後の観光スポット、保津峡の寄ります。玄武洞から保津峡まではけっこうな距離があるので、ここでついに特急を使います。とはいってももちろん玄武洞にも保津峡にも特急は止まらないため、豊岡→亀岡の区間で特急「きのさき」利用します。特急でも2時間かかります。兵庫県広い。
山陰本線は城崎温泉から内陸に入っていくので、もう日本海は見えません。しばらくは玄武洞への渡し舟で渡った円山川に沿って線路が走り、京都府に入っていきます。車窓の眺めは、鳥取~城崎温泉間が最高だと思います。日本海に面したリアス式海岸がずっと続き、鎧駅のようなところを何度か見ることができます。そうかと思えば、山奥に入っていわゆる秘境駅で停車することもあります。居組駅なんかは、なぜこんなところに駅があるのか、と思ってしまうぐらいです。やはり山陰本線は「偉大なるローカル線」なのでしょう。
亀岡でまた普通列車に乗り換えて、保津峡駅で降ります。嵯峨野のトロッコ列車に接続している駅ではないので、普通の観光客にはスルーされる駅なのかもしれませんが、実は駅からの眺めが素晴らしいのです。保津川にかかる橋がそのまま駅になっています。周りに民家は見当たらないので、ここも秘境駅なのかもしれません。京都に近いのに。
駅からの眺めとは思えません。
トロッコがちょうど通りました。
保津川ラフティングを楽しむ人たち。
保津峡の景色を楽しんだら、旅は終わり。京都へ向かいます。保津峡から京都までは20分ぐらいです。京都駅には山陰本線の車両止めがあります。